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組合員の脱退手続きを詳しく解説。

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 皆様こんにちは。Bellです。

 組合員の脱退には、自由脱退と法定脱退の2つの種類があることは以前説明しました。

 特に組合員の自由脱退においては、組合に90日前の報告が必要であること、法定脱退は即時脱退という違いがあることも説明しました。

 今回は、脱退の告知や連絡が組合事務局へ突然きたことを想定して事務手続きを順番に解説していきます。

こんな方におすすめ

  • 組合からの脱退の相談を受けた組合
  • 組合から脱退を考えている企業
  • 組合脱退に関する持分の計算を知りたい方
  • 組合の脱退に関する経理処理に悩んでいる方

組合員の脱退に関する事務処理は次のとおり

step
1
脱退予告書

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2
脱退確認書

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3
出資金の払い戻し金額の計算(年度末)

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4
払い戻し金額を出資金から未払出資金へ振替

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5
出資金金額及び出資口数変更の登記

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6
通常総会で決算の承認

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7
出資金の払い戻し

Contents

脱退予告書

 組合を脱退する場合は定款にもよりますが90日前までの予告が必要になりますが、多くの場合は電話で突然の連額としてくることが多いと思います。

 その場合は、一応、文書で予告書を提出してほしいことを説明しましょう。電話だけでは言った言わないの話になることもあるので、文書をもらうことはしっかり押さえましょう。

 脱退予告書は基本的に様式自由です。そのため、必要なことを記載していなかったり、年度末脱退が原則である組合なのですが、それ以外の日付で脱退しますという文書を送ってきたりします。

 そのため、脱退予告書の参考ひな形は用意していたほうが、組合、組合員の両方にとってメリットがあります。

脱退予告書の参考ひな形は下記からダウンロードしてください。

ダウンロード

 この脱退予告で重要な箇所は一番右上の日付です。提出日又は申請日となるのですが、ここが年度末より90日前(定款による)でないと当該年度での脱退は難しくなります。

 なお、法定脱退については、その事実(組合員資格喪失)が発生した日付で脱退となります。そのため、組合に脱退届が提出されることはほとんどありません。法人企業の解散や倒産の場合は、その管財人(弁護士等)から出資金の返還請求が届きますが、その場合は、年度末に持ち分を計算し、通常総会で決算が承認されたのち、組合が有する当該組合員への

債権を差し引いて返還する旨を伝えてください。

 一応、法定脱退の場合の脱退届のひな形もありますので、必要な場合はダウンロードしてご活用ください。

ダウンロード

脱退確認書

 組合員から脱退予告書や脱退届が提出された場合は、事務手続き上、組合から脱退確認書を提出する方が、文書として双方の合意が形成されます。特に脱退確認書は定款等で義務付けされているものはありませんので省略しても問題はありません。

 その脱退確認書も参考ひな形を用意しておりますので、必要な場合は下記よりダウンロードして活用してください。

ダウンロード

出資金の払い戻し金額の計算(年度末)

 脱退する組合員に対する出資金の払い戻しは年度末の組合の財産から計算することになります。

 また、払い戻し金額は「出資金を限度」としたものなのか「全額払い戻し」なのかで金額は変わってきます。どちらになるのかは定款の(脱退者の持分の払戻し)の条文をご確認ください。

<出資額限度の場合>

第14条 組合員が脱退したときは、組合員の本組合に対する出資額(本組合の財産が出資の総額より減少したときは、当該出資額から当該減少額を各組合員の出資額に応じて減額した額)を限度として持分を払い戻すものとする。ただし、除名による場合は、その半額とする。

 この出資額限度は、年度末時点の組合財産において、正味資産合計が出資金額合計より多い場合であっても、脱退者の戻す出資金は出資した金額を上限とするということです。

 つまり、1人1口100万円の4人で4口400万円を出資金として設立(この時点で正味資産は400万円)した組合が、3年後に正味資産が800万円に増加したとします。そこで1人が脱退するとなった場合、組合の財産は2倍に増えているのですが、出資額限度の払戻しとなりますので、100万円だけを戻しますというのが出資額限度のルールです。

<全額払戻の場合>

第 14 条  組合員が脱退したときは、その持分の全額を払い戻すものとする。 ただし、除 名による場合は、その半額とする。

 この全額払戻は、上記の例でいうと、400万円でスタートした組合が3年後には倍の800万円に正味資産が増えたので、払戻す金額は出資した金額100万円の倍の200万を戻すというルールです。

<出資額限度と全額払い戻しの共通点>

 どちらの場合も正味資産合計が出資金額合計より下まわっているときは、減額されて戻されます。

 上記の例では、400万円でスタートした組合が3年後には半分の200万円に正味資産が減っている場合、払戻す金額は出資した金額100万円の半分の50万円になります。

 

 そして、この返還する出資金の計算方法についての詳細は、税理士や最寄りの中小企業団体中央会に相談することをお勧めいたします。

<計算方法>

ザックリとした計算方法は次のとおりです。

1.年度末時点の貸借対照表を作成します。

2.貸借対照表の正味資産の金額を出資総口数で割り、1口あたりの金額を算出します。

3.年度末時点での1口当たりの金額に脱退者の出資口数を掛けて持ち分を計算します。

具体的なイメージは下記を参照下さい。

 

 

払い戻し金額を出資金から未払出資金へ振替

脱退する組合員への払戻す金額が確定したら、その後の経理処理を行います。

詳細は下記のとおりです。

 出資金のみ返還する場合

 脱退者の持分額 2,000,000 円 

 脱退者の出資額    250,000 円 

(1)年度末の経理処理

   出資金 250,000  / 未払持分 250,000

 (2)総会終了後、組合員に支払ったときの経理処理

   未払持分 250,000 /  現金 250,000 

(3)受取った組合員の経理処理 

   現金 250,000  / 組合出資金 250,000

 

欠損金があるため出資金を下回って返還する場合

脱退者の持分額   50,000 円 

脱退者の出資額 250,000 円 

(1)年度末の経理処理 

 出資金 250,000  / 未払持分 250,000

(2)総会終了後、組合員に支払ったときの経理処理

 未払持分 250,000 /  現金 50,000 

               出資金減少差益 200,000

 (3)受取った組合員の経理処理 

 現金 50,000  /  組合出資金 250,000

 雑損失 200,000 

全額払戻の場合

 組合の定款で脱退者への払い戻しが全額払い戻しとしている場合は、税理士か最寄りの中小企業団体中央会に相談して下さい。原則的な計算方法は出資額限度の払い戻し方法と大きな変わりは無いのですが、出資金額を超える金額の払い戻しには税金が掛かる可能性があります。専門的になることは自分たちで判断するより、専門家に相談し、いざというときの盾になってもらいましょう。

出資金及び出資口数変更の登記

 脱退者がいる場合、原則として年度末をもっての脱退となります。そのため、年度末をもってその出資金額は、純資産の項目から負債の方に未払出資金として振り返られ、出資金が減額します。

 出資金が変更した場合は法務局に届け出る義務がありますので注意してください。ただし、組合の場合は中小企業等協同組合法の第85条第2項において「出資の総口数及び払込済出資総額の変更の登記は、毎事業年度末日現在により、当該末日から四週間以内にすれば足りる。」とされているので、一般的な法人よりは若干の猶予があります。

通常総会で決算の承認と出資金の払い戻し

 組合員の脱退は経理処理と登記が終了するれば、あとは通常総会で決算の承認をしてもらい、その後に出資金を払い戻せば終了です。

 基本的に組合の脱退は自由が原則ですので、脱退について総会でその審議や承認を得る必要はありません。ただし、除名の場合は違ってきます。それについてはいずれ解説したいと思います。

まとめ

 現在の多くの組合は定款上「出資額限度の払い戻し」となっているはずですので、最大でも出資額までの払い戻しです。

 ですが、組合が解散となると、負債を全額精算し、固定資産を現金化した後の正味資産(純資産)を残った組合員で出資口数に応じて山分けとなります。そうすると、組合に加入して間もないのに解散時に加入していたことで出資金以上に持分が戻ってくる企業もありますし、逆に組合に長年在籍し、貢献したにもかかわらず、組合解散の数年前に脱退したことで出資金しか戻ってこなかった企業もあります。

 そのため、このような差を無くすために、組合によっては加入時に出資金の他、加入金を徴収するとこともあります。

 組合を設立する際はここまで考える必要ないと思いますが、途中から組合に加入することを検討している場合は、加入時の組合の正味資産(純資産)ぐらいは確認した方がいいかもしれません。

 組合の正味資産(純資産)が出資総額より少額の場合、出資金を支払って加入した時点でその企業の出資金(持分)は目減りしてしまう可能性が高いので注意して下さい。

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