今回は、協同組合の創立総会の案内から実際の進め方まで解説します。
ここで、いきなりどうでも良い話なのですが、このブログでも組合の設立に関する記事を書いていると無意識に「設立」という言葉を使用します。その流れで「設立総会」という表現をしていることがあると思います。ですが、一応、中小企業等協同組合等(以下、中協法)では「創立総会」という表現になっております。言葉は違っておりますが、同じ意味での使用となっておりますのでご承知下さい。
さて、総会は単なる会議の一つなのですが、組織の最高意思決定機関という位置づけから少し重々しいイメージがあるかもしれません。
ですが、きっと皆さんも中学校や高等学校の時に、生徒会が開催する総会に出席させられたことがあると思います。
長たらしい文書が配布され、議長以外の生徒がその議案を説明し、挙げ句の果てに会計報告では一円単位まで金額がすべて読み上げられ、最後に「異議はありませんか?」と議場に問いかけ、「異議がないようでしたら拍手をもって承認をお願いします」というあれです。
基本的に、協同組合で実施する総会(創立総会、通常総会、臨時総会)も同じような流れとなります。
今回はこの総会の開催案内から、当日の具体的な進行までを紹介します。
こんな方におすすめ
- 創立総会の案内文書のひな型がほしい人
- 総会自体の進め方を知りたい人
- 総会の進め方のシナリオが欲しい人
- 総会で質問があった時のさばき方を知りたい人
Contents
創立総会の開催案内
それでは、まず、設立総会の案内方法から解説します。
設立総会は中小企業等協同組合法(以下、中協法)で、その開催の公告がされてから2週間以上経過しないと開催できないこととなっています。
そのため、開催の案内は発起人会で設立総会の開催日時と場所を決定したら速やかに発送しましょう。一応、案内状の右上の日付は、発起人会開催日以後でかつ、創立総会開催の2週間以上前の日付となっていることを確認して下さい。
そして、この案内についても形式は自由であるため、参考を一つおいておきます。ダウンロードして活用して下さい。
ダウンロード
設立総会の進め方
設立総会は開催した後、議事録を作成して、設立認可申請書の添付資料の一つになります。総会の開催状況を記録し公的に残し、所管行政庁に提出するとなると、総会中の発言やその進行についても緊張してしまいます。
そもそも、公的に議事録を残す総会とはどのように進めていけば良いのか、そこに不安が生じてしまします。
ですが、大丈夫です。
創立総会の進め方にはある程度のフォーマットとそのシナリオがあり、それに準じて粛々と進めるだけで問題ありません。外されないことは、総会の要件を満たしていることと、各種議案の賛否を明確にすることです。
参考として創立総会のシナリオをダウンロードできるようにしております。
ダウンロード
創立総会シナリオ(参考)を一度全部読んでいただければ、その創立総会の流れが分かると思います。
この流れを頭で何回かシミュレーションするだけで、総会は以外と簡単に進めることができます。
そして、このシナリオに沿って展開された総会であれば、総会議事録もそれに対応したひな型に落とし込むことができます。
総会議事録の書き方については、また別の記事で紹介します。
設立総会開催までの事前準備
設立総会のシナリオに沿って進める場合、いくつか事前に準備し確認しておく事があります。
1.設立同意者数の確認
協同組合の設立に際し、設立趣意書や定款、事業計画や収支予算を作成しますが、そのとき、組合員になろうとする事業所には声を掛けたりして、事前に加入の有無や、出資できる金額などを詰め、それが定款の地区や収支予算に反映されていると思います。
そのため、設立総会の案内を送付する事業所も絞られており、創立総会当日までには、何人が組合設立に同意するのかその総人数は確認できます。
創立総会が法的に有効に開催されることを証明する組合員の母数ですので明確にしましょう。
2.創立総会の参加者の確認
創立総会が有効に開催されるためには、設立同意者数の半数以上の参加が条件です。本人出席と委任状出席を合わせて何人が総会に参加しているのか明確にしましょう。
事前に参加申込をもらっても、当日欠席や突然の参加はよくあることなので、総会開始の直前に再度、何人参加している状態なのかを確認し、司会進行へ報告しましょう。
3.さくらの仕込み
総会にサクラを仕込むという表現をすると、いかにっも悪いことをしそうなイメージになりますが、シナリオを確認してもらうと、何回か議長から議場に「よろしいでしょうか?」「お諮りいたします」等の問いかけがあります。大方「シ~~ン」となり議場からの回答がありません。そうすると総会の進行が滞ってしまいます。そのため、この総会に参加している議決権のある組合員の方に、シナリオに合わせた「異議無し」「議長一任」などの発声をお願いするということです。もちろん、その方も議案の内容や進行に納得してもらっての発声であることが絶対条件となります。
4.議案の説明方法の検討
総会における議案の説明は、基本的に議長以外の発起人実施することが望ましいと思います。一語一句の読み上げでも問題ありませんが、それは読めばわかることなので、できれば要点を絞りって説明した方がスマートです。
総会進行中の質問の対応
総会の進行や議案説明というはシナリオや説明原本があり、全部自分サイドでコントロールできることなので、緊張こそしますが、難しいことではありません。
総会の中で、一番難しいのが「組合員からの質問」です。
特に、組合の創立総会の場合、協同組合という組織の特徴を理解して組合に参加使用とする組合員はほとんどいません。
例えば「組合員から賦課金(会費)をこれぐらい取るなら、もっと外部との取引を拡大してみてはどうか」などの質問があったりします。
このサイトでも説明しておりますが、協同組合の事業のお客様は組合員と限定されており、員外との取引には制限があります。
しかし、創立総会に参加する、組合員になろうとする人はそこまで理解していません。そこにマウントポジションから「組合とは・・・」と説明すると、場合にもよりますが、質問者は辱めを受けたと感じてしまう場合もあります。回答の際には注意しましょう。
また、議案について修正の提案があった場合は、「なぜ、原案になったのか」という経緯を発起人に説明させ、できる限り提案者を説得してみましょう。
それでも納得できないようであったら、次のいずれかで進めます。
・原案をそのまま議場に諮り賛否をとってみる(賛成〇人、反対〇人、無回答〇人)
・全員が納得のいく着地点を見つけて議場に諮り賛否をとる(満場異議無く承認)
創立総会の議決は参加者の2/3以上という条件があります。一般的な議決は議決権の半数以上なので少し議決条件が高いので注意してください。
まとめ
創立総会の案内から、事前準備、当日のシナリオやその進行までを紹介してみました。ただし、ここで紹介した内容は総会の展開としては単なる一例です。
組合によっては、役員の選出をガチ選挙で展開することもあると思います。そうなるとこのシナリオではなく、役員の選出から選挙仕様となり、「選挙立会人」や「選挙管理人」を選出するところから始まります。
多くの場合は、組合の設立時は仲の良い仲間からスタートするので、ガチ選挙となることは希だと思い「指名推選」のシナリオとしております。
もし、組合設立時からバチバチとなることが想定されるのであれば、最寄りの都道府県中小企業団体中央会に依頼して、指南役として創立総会に立ち会ってもらいましょう。