事業協組合 設立

協同組合の事業計画の一番簡単な作り方

こんにちは、Bellです。

今回は事業協同組合の設立の際に必要な事業計画の簡単な作り方を説明します。

基本的に組合だけでなく、企業においても事業計画を作るのは難しいものです。特に初年度というのは、参考となるひな型もないのでゼロからの作成ですので本当に骨が折れます。さらに事業協同組合の設立認可を受けるために、所管行政庁に提出が必須である資料となれば、より書き方のハードルが高くなると感じてしまうものです。

しかし、大丈夫です。

事業協同組合の設立に関する事業計画書もその様式は自由ですので、ある程度のひな型があれば、それほど難しいものではありません。基本的に設立趣意書や定款で決めた「事業」について、何を、どのように実施してどれぐらいの収入とするのか記載されていればOKです。

そこでその書き方を解説致します。

Contents

準備するもの

事業計画書を作るのに際し、次の準備して下さい。

1.事業計画書(ひな型) ここからダウンロードしてください。「もの」

ダウンロード

2.作成した設立趣意書または定款を準備してください。

3.組合が実施する事業の内容を決めて下さい。

 例:共同購買事業を実施するのであればその品目(〇〇部品、〇〇材、燃料・・・等)

   共同販売事業を実施するのであればその品目(製品A、製品B・・・等)

   共同受注事業を実施するのでれば受注する品目(〇〇業務、〇〇工事・・・等)

   教育情報提供事業を実施するのでれば、想定している研修会の回数等

事業計画書に実施する事業の項目を記載する

 事業計画書のひな型をダウンロードしたら、次は、設立趣意書や定款に記載した設立する協同組合が実施する事業を確認し、事業計画書のひな型で必要な項目は残して、不要な項目を削除してください。

 原則として、設立趣意書や定款に記載している事業は、もれなく事業計画書に記載し、どのように事業を実施するのかを明記する必要があります。

 ひな型に無い、組合オリジナルな事業も記載しなければいけません。少し手間は掛かりますが、他の事業の書き方を参考に項目を作って下さい。

 大切なことは、組合が組合員のために何をするのかが分かるように記載することです。そして、どのように組合が手数料をもらうのか、または賦課金の中で実施するのかなど、掛かる費用や収入について記載します。

各種事業の書き方

共同購買に関する事業

 共同購買事業とは、組合が組合員が欲しいとしている物品について、組合がまとめて安く仕入れ、組合員に安く販売する事業です。そして、組合はその販売の際に組合員から量や金額を基準に手数料をもらうという事業です。

ひな型では次のとおりとなっております。

【共同購買に関する事業】

  この事業は、組合員が需要する次の製品の全需要数量を組合員から委託を受けて、組合が購買することにより実施する。

単価 購買量 購買高 手数料率 手数料高
A品 @** 〇個 ***円 購買高の*% **円
B品 @** 〇ダース ***円 購買高の*% **円
C品 @** 〇kg ***円 〇kgにつき*円 **円

 少し気になるのは「組合員が需要する次の製品の全需要数量を組合員から委託を受けて」という表現かもしれません。組合という組織を運営するためにも、その製品や物品を購入する場合は必要とする全量を組合員は組合から買うという、単なる決意の表現だと思ってください。実際に組合が組合員に圧力を掛けて強制的に買わせる行為は、単なる弱い者いじめですので不法な行為になる可能性があります。ここでこのような表現をしているのは、所管行政庁に対し、設立する組合の運営について組合員も熱い思があることをみせるパフォーマンスという認識でOKです。

 でもやっぱり、この表現に抵抗があるようでしたら、「組合員が需要する次の製品を組合員から委託を受けて・・・」としても問題ないと思います。

 そして、手数料高の金額が組合の収入になります。

共同販売事業の書き方

 共同販売事業の書き方は、ほとんど共同購買事業と同じです。項目が決まってしまえば悩まずに記載できます。

共同受注事業の書き方

 共同受注事業は、組合が受注することを項目に記載してください。そして、組合員に対しその受注した仕事を配賦します。その際に手数料をもらいます。

【共同受注に関する事業】

 この事業は、組合が注文を受け、組合員に受注を斡旋することにより実施する。

受注量 受注高 手数料率 手数料高
A工事 **件 ***円 受注高の*% **円
B品 **台 ***円 〇台につき*円 **円
C品 **kg ***円 受注高の*% **円

 この共同受注では多いのが、工事や管理業務なのですが、組合の事業に共同受注事業を入れただけでは業務受け皿にならない場合もありますの注意してください。事業協同組合も法人の一つとして見られるので、受注や入札の要件に法人として専門的な資格を有している必要がある場合、多くの組合員がその資格をもっていても、直接の受け皿となる組合という法人がその資格を有していないと発注の対象にならないこともあります。

共同生産・共同加工事業の書き方

 組合がこの事業を実施する意思があるのでれば、すでに導入する機械設備と、加工する品目決まっていることと思います。ですのでその内容を落とし込んでください。

【共同生産・共同加工事業】

 この事業は組合員が事業に必要とする次の品目を組合員の委託を受けて、組合の施設において生産(加工)し、組合員に供給することにより実施する。

生産(加工)量 手数料率 手数料高
A品 〇個 個につき*円 **円
B品 〇台 〇台につき*円 **円
C品 〇kg 〇kgにつき*円 **円

 時代の流れが速くなってきておりますので、新しい商品もすぐに陳腐化する傾向にあります。地方のものづくり工場では、1社で時代の変化対応した高価な機械設備を定期的に導入することは困難になっていくと思います。そうした場合、事業協同組合を設立して生産の共同化や協業化が必須になっていくと個人的には感じております。

共同宣伝事業の書き方

 事業計画案のひな型の内容を少し飛ばして、共同宣伝事業です。

 これは、組合本体であったり、組合員の売上を伸ばすために実施される事業です。この事業は組合員から手数料をもらうというより、この事業のためだけに賦課金を臨時徴収したり、年度当初から実施計画として盛っているのであれば、その分の賦課金の年額に入れて徴徴収することが多いです。

【共同宣伝に関する事業】

 この事業は、組合員事業のPR及び販売促進のため、組合が宣伝を実施する。

 なお、この事業は賦課金収入により運営する。

宣伝方法 媒体 時期 費用
新聞広告 〇〇新聞 〇月 **円
見本市出店 〇〇展 〇月 **円

教育情報事業の書き方

 この事業も共同宣伝事業と同じく、賦課金の中で実施する組合が多いです。事業計画書においては、テーマは不明でも、年に〇回の研修会や講習会を実施することを記載し、そこに掛かる経費を見積もっておきます。参集する組合員数で会場の有無もあると思いますが、基本的には会場借料、講師謝金、講師旅費をザックリと計上しておきましょう。

【教育及び情報事業に関する事業】

  この事業は、組合員の事業に関する経営及び技術の改善向上又は組合事業に関する知識の普及を図るため、次の研修会並びに情報の提供を実施することにより行う。

(1)講習会・研修会の開催

   ①〇〇研修会(年2回開催)  計2回 ***円

(2)情報の提供等

   ①各種パンフレットの送付(随時)

   ②組合員ニーズを把握するためのアンケートの実施(随時) 報提供費 ***円

資金計画の書き方

 この資金計画ですが、ひな型を見てのとおりザックリです。正直、このような内容で資金繰りの安全、危険の判断は難しいと思いますので、記載する意味が問われるべきとは思いますが、されど参考様式です。多くの組合がこの様式で設立の認可を受けているのであれば、所管行政庁の担当者も、この項目がないよりはあったほうがいいと思うはずです。

 記載する内容は、資金調達項目においては純粋に出資金○○円、借入予定があるのでれば○○円。資金運用では、帳簿上の固定資産となるものがあれば記載し、もしなければ(1)固定資産投資額の項目ごとバッサリカットでOKです。どこか組合員の事務所を間借りして組合の運営を企画しているのでれば固定資産なんて持たないのでカットしていいと思います。そして運転資金として各種事業で使う金額を適当に割り振りできればOKです。

資金調達の合計金額を資金運用の合計金額が超えるようなことがなければ問題ないと思います。

Ⅱ 資金計画

 1 資金調達

    出 資 金                     *****円

    借 入 金                     *****円

合     計                                          *****円

2 資金運用

 (1)固定資産投資額

      共同作業所(規模を具体的に)                  ****円

      組合事務所(   〃   )               ****円

  機械器具                                                               ****円

  車両運搬具                                                           ****円

  什器備品、減価償却資産分                                 ****円

   関係団体出資金(相手先別に)                         ****円

        小    計                                            ****円

 

(2)運転資金

  共同購買に要する資金                                    ****円

  その他の事業に要する資金                             ****円

    小    計                                         ****円

合    計                                               ****円

 

借入金残高の書き方

 これは借入をする場合、組合ではその上限をどのくらいに設定しているのかを確認する項目です。ここに金額を記載するのであれば、組合の存続にも重要な案件であるため、その内容を必ず総会で諮るようにしてください。

借入をしない場合は、0円と記入するか「令和〇年度は借り入れないものとする」と明確に記載しましょう。

  Ⅲ 借入金残高の最高限度額

          *****円 

まとめ

 事業とその内容となる対象品目が決まっていればそれほど難しくないはずです。数量と金額そして手数料割合を少しいじるだけ完成します。

 また、この事業計画書は2期分作成する必要がありますので注意してください。初年度は設立予定月から、定款に記載している年末までです。その期間が1か月~3か月しかない場合、その所管行政庁にもよりますが、初年度プラスもう2期分となる可能性もあります。

 

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