今回は、創立総会と理事会の議事録の書き方を解説します。
まず、注意していただきことは、創立総会では、総会中に理事会が開催され、その後に総会が終了となる展開が多いということです。
これは、創立総会ですので、理事長に就任した者が組合員にむけて挨拶ぐらいはしておくべきとか、その理事会で始めて組合事務所(住所)が決定するので、最低限の情報を組合員に提供しなければいけないという配慮の観点からなのか理由は不明ですが、総会の開催中に理事会を実施する例が多いです。
それに対し、この創立総会以後の総会(通常総会)では、理事会は別個で開催されることがほとんどです。
特に協同組合は2年ごとに理事の任期は満了となることから、そのたびに通常総会で役員を選出し、理事会で理事長等を選定しなければいけません。展開的に創立総会時と同じなのですが、総会と理事会は別々で開催されることが多いです。
この違いの理由は、定款にもよるのですが、役員の任期は通常総会終結時までとなっていることが多いからだと思われます。
通常総会開催中に理事会を開催すると、まだ総会が終結していないため、任期中である旧理事と、選ばれた新理事が混在する中で理事会を開催することになります。基本的には新理事による理事会の開催になるとは思うのですが、そこに旧理事が参加できないのかとなると、まだ任期中であることから判断は微妙です。
代案として新旧両理事で理事会を開催する方法もありますが、場合によっては定款の理事の定数をオーバーした理事会の開催ですので、その内容が有効かどうか微妙です。
以上の理由で総会と理事会は別々で実施することが多いのです。
いずれにしても今回は設立総会とその開催中に実施する理事会に関する各種議事録の書き方についてを説明していきます。
こんな方におすすめ
- 総会及び理事会の議事録を作りたい人
- 総会及び理事会の議事録のひな型が欲しい人
- 総会及び理事会の議事録の記載項目で悩んでいる人
- 総会及び理事会の議事録の記載内容がわからない人
Contents
総会議事録への記載内容
総会議事録に記載する内容については、中小企業等協同組合法(以下、中協法)で主務省令で定めると記載しており、その主務省令となる中小企業等協同組合法施行規則で大まかな記載概要が決められて、その内容に沿ったものが組合の定款(参考ひな型)に記載されています。
つまり、このサイトでダウンロードした「定款(参考ひな型)」を確認することで、総会議事録に記載する項目がわかるようになっております。
とはいっても、何も無いよりは議事録の参考があれば助かると思います。多様な他のサイトでもダウンロードできるようですが、一応ここにも置いておきますのでご参考ください。
ダウンロード
ダウンロードした創立総会のひな型を確認していただければ、その書き方のイメージを捉えられるとは思いますが、いつ、どこで、だれが、どれぐらい集まって、何を審議し、どのように決議したのか、ということが明確にわかるように記載しています。
内容的には、「満場異議無く可決(承認)」と決議の結果をシンプルに記載しているひな型です。これで問題ありません。
組合によっては議案に対する質問と発起人の回答について、その発言を一語一句記録することもあると思いますが、それも記録として残すという観点では一番良い方法であることは間違いありません。
ですが、仮に質問があったとしても、その内容と回答を要約して記載し、結果として議案は何人が賛成し何人が反対したのか、その結果が記載されていれば大丈夫です。
ちょっと複雑になってくるのか、役員の選出の議案になります。
この設立総会議事録のひな型は「指名推選」で役員を選出する方法を記載しております。中協法に準拠した定款でれば、指名推選による役員選出は認められおりますが、次のようなルールがあります。
(1)指名推選をすることを出席者全員から同意
(2)被指名人の選定は、その総会において選任された選考委員が行う
(3)選考委員が被指名人を当選人とするかは出席者全員の同意が必要
そのため、指名推選とすることを議場に諮り全員の同意を取り付け、選考員は何人として、どのように選出するのかについても議場に投げて意見を拾い、その内容で良いかを再度全員から同意をもらう。そして選ばれた被指名人でよいことを最後に全員から同意をもらうという段取りで進める必要があります。
それが創立総会のひな型に記載されております。
大切なことは出席者全員から同意を取り付けながら進めているということを記録してください。
理事会議事録の記載内容
次は理事会議事録です。
理事会議事録も参考までにそのひな型をダウンロードできるように置いておきます。
ダウンロード
この理事会は、創立総会開催中に実施されていることが前提となっております。
決めることで外されないのが、
(1)代表理事の選定(その他役職理事を含む)
(2)事務所の所在地
特に(1)については理事会で決めることが中協法でも記載されておりますので、総会で選定できうるものではありませんので注意してください。
まとめ
設立総会の議事録も理事会の議事録も、ひな型をダウンロードして自由に編集してもらって大丈夫ですが、必要項目を削除すると所管行政庁や法務局で突き返される可能があります。
また、ここでダウンロードできる議事録のひな型もすべてに万能であるものはなく、届け出先によっては修正や訂正の指摘を受ける可能性があることはご了承ください。
そして、今回用意したひな型にはどれも理事の㊞を押す形式となっております。
中協法の中では理事会議事録については、書面をもって作成する場合、出席した理事および監事はこれに署名し、又は記名押印しなければいけないとしておりますが、総会議事録については、署名、記名押印のことは記載されおりません。
一応、慣例的に総会議事録にも押印するひな型を用意しておりますが、押印文化の見直しが騒がれている今、手間を掛けて押印する必要は無いかもしれません。
一般的には書類が2ページ以上になる場合は書類として継続するする証明として割り印が押されます。今回の総会議事録なども2ページにわたる書類となることから割り印が必要になるかもしれません。
しかし、割り印そのものに法律的なルールはありません。受け付ける側が「不要」と言えば不要ですし、「必要」となれば必要です。「必要」となった場合も代表者のみの割り印でOKとなるかもしれませんし、今回のようのな組合設立の場合は発起人全員の割り印となるかもしれません。いずれにしても受け取る側の裁量で決まりますので、所管行政庁や、法務局の法務官で違ってくることが想定されます。
いずれ、押印の仕様については違いが生じてくるとは思いますが、中協法上、議事録で必要とされるのは理事会議事録のみとなっております。